インタビュー

家具・家電・住設機器の共同輸送コミュニティで課題解決を目指す

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異業種のお客さま同士の共同輸送を支援するため、JPRでは共同輸送マッチングサービス「TranOpt(トランオプト)」を提供している。ただし、一言に共同輸送とはいっても、お客さまの中には荷物の特性上、他業種との共同輸送を自力で進めるのが難しいとされるケースもある。そこでJPRは、システムのみではなかなか実現しづらい共同輸送を、コミュニティを形成し実際に顔を合わせて対話することで実現を目指す「コミュニティ企画」を実施している。
今回ご紹介するのは、「家具家電共同輸送コミュニティ」。家具や家電、住設機器も他業種との共同輸送が容易ではない商品のひとつだが、共同輸送実現に向けどのように取り組みを進めているのだろうか。参加企業5社のご担当者の方々に、お話を伺った。

<参加企業>



―課題を共有しながら共同輸送を実現していく場をつくりたい

家具・家電・住設機器の輸送は荷物の大きさや形状がさまざまであり、手積み・手降ろしであることが特徴で、一般的な消費財よりも共同輸送へのハードルは高い。
コミュニティの形成時から参加されていた株式会社アクタス(以下、アクタス)の南さまは「コミュニティの企画が生まれる前にTranOptの説明をいただいて使ってみた時、システムを利用するだけではなかなか難しいように感じました。2024年問題への対応が迫られる中で、共同輸送を視野に入れてはいましたが、「言うは易し行うは難し」ですよね。JPRさんとやり取りする中で、家具の納品先は比較的消費地に近いところにあるので、同じような商材なら降ろし場所も似てるのではないか?との発想に至り、輸送状況が似ている業界で一緒に共同輸送できたらいいですね、と話が進みコミュニティの構想ができましたと振り返る。
参加企業さまのきっかけはさまざまで、TranOptのサービス説明会を受けたことをきっかけに、企画にも興味を持って参加されたり、すでに参加している企業から紹介されて参加されたりなど。コミュニティ始動までは3、4か月ほどを要したという。家具や家電、住設機器業界では、物流事業者と運送会社間での共同輸送の取り組みは見られるものの、荷主同士が主体となって取り組む例はあまりなかったようだ。
Koala Sleep Japan株式会社(以下、Koala Sleep Japan)の山本さまは、「2024年問題や近年の経済状況の動向から、輸送コストが上昇してしまうのではという心配がありました。共同輸配送から価値を生み出すなんらかのきっかけになればと思い参加しましたと語る。

―課題を共有し、共同輸送に向けて具体化していく

家具家電共同輸送コミュニティの会合は、事務局を担うJPRの大手町本社会議室で開催されている。月に1回2時間程度開催され、計4回会合が実施されている。自己紹介から始まり、TranOptのサービス説明、課題ルートやエリアの共有などを経て、ディスカッションに移る流れだ。「初回の前にJPRさんが各社に課題をヒアリングしていて、ある程度まとめて方向性を示してもらえたので、入りやすかったですと話すのは、タカラスタンダード株式会社(以下、タカラスタンダード)の杉山さま。初回の会合の時から活発な議論を行うことができたようだ。初回は各社が抱える課題を出し合い、2回目、3回目と回を追うごとに、具体的な議論が進んでいったという。



TranOptのシステム自体の印象としては、「わかりやすい」、「よく作りこまれている」、「往復の便のマッチングだけでなく、3社で三角形を描くマッチングパターンもあり面白かった」との声があがる。株式会社ビックロジサービス(以下、ビックロジサービス)の新井さまは、「同じ考えを持つもの同士なので、意思の疎通は早かったように感じます。普段同じ商材を扱う企業とは接点を持つことがありますが、今回のように他業種とはなかなか接点を持つ機会がないですね。また今までトラックのマッチングというものはよく見かけましたが、荷物のマッチングというのは新しい試みだと思いますと語った。

―対面の良さは、スピード感と偶然生まれる話

「実際に会って話してみると、いけそうだなという感じをかなり感じましたと話すのは、3月からコミュニティに参加された株式会社オープンロジ(以下、オープンロジ)の相澤さま。「いけそう」と感じるのはどのようなことからだろうか?対面で開催する良さを皆さまにお話しいただいた。
 
アクタス 南さま「システム上だけだと、決められた選択肢しか選べないですよね。もう少しずらすことができたら実現できるのに、といったことや反対に少しでもずれたら実現できないこと、この辺りは直接話さないとわかりません。対話することでここまではOKなんだな、といった微妙な調整ができるのがリアルの良さじゃないでしょうか」。
 
Koala Sleep Japan 山本さま「その場でTranOptの担当者に質問できて、そこで回答が得られるのが良いです。毎回メールの返信を待つ、といった時間も必要ないので、2時間の間でかなり話が進むんですよ。あとは、話している中で『実はこういうのもあります』と偶然話が生まれることでしょうか。対面でやる中でこれが一番大切なことかなと思います」。
 
タカラスタンダード 杉山さま「業界問わず共同輸送はだいたい総論では賛成だと思いますが、時間やパレットのサイズだったり、細かい条件を合わせるのが難しいケースが多いですよね。そこをレスポンスよく調整できるのが対面の良さかと思います」。
 
その場で細かい調整を行えるためスピード感をもって検討を進められること、そして会話の中から偶然生まれるアイデアに価値を感じているといったものだった。何気ない会話からのひらめきをすぐにキャッチできる点は、対面でしか得られないメリットなのだろう。

―共同輸送が成立した具体的な事例

共同輸送成立事例第1号は、タカラスタンダードとビックロジサービス間の「帰り便を埋める」輸送。タカラスタンダードの新潟工場から埼玉県や茨城県など関東方面への運行の際、車両が空くため、帰り便としてビックロジサービスが千葉県から新潟方面への運行を行うというものだ。この事例は不定期便での運行を想定しており、実際の運行はこれからスタートする。両社からここまでの取り組みについて感想を伺った。
 
タカラスタンダード 杉山さま「条件としては場所や時間、荷姿やトラックのサイズ、輸送頻度など調整が必要でしたが、ビックロジサービスさまに歩み寄っていただけたこともあり、それほど難航しませんでした。社内では新しい取り組みだと評価されましたが、まだ実際に運行していないのでやり始めてどうなるか、というのがこれからの課題ですね」。
 
ビックロジサービス 新井さま「こうやって実際に顔を合わせたことで、次につながるきっかけを作れたと感じています。社内からは、色々な企業の方と知り合いになれてすごい!と反響がありました」。



予想していたよりも、スムーズに取り組みが進んでいる印象を受けた。

―今後の展望をお聞かせください

最後に、今後共同輸送やTranOptに期待することを伺った。ここでは2社のコメントをご紹介させていただく。
オープンロジ 相澤さま「2024年問題が迫り、物流ネットワーク自体のひっ迫が、社会的に大きな問題として認識されてきています。今までは個社ごとで物流が最適化されてきましたが、全体最適を図れるプラットフォームになる可能性が、TranOptにはあると感じています。競争領域と協調領域をしっかり分けて、一緒にやるべき部分は一緒にやった方が日本全体の物流の最適化につながると思います。私たちも倉庫という領域で同じような取り組みを行っているので、うまく連携できて物流の改善ができるといいなと思っています」。
 
Koala Sleep Japan 山本さま「これからは物量が増える一方、ドライバーの数は減ってトラックの確保も難しくなるため、いかに少ない作業負荷で結果を出して輸送コストを抑えるかが求められていきます。今までやっていない取り組みに挑戦していくうえで、皆さんも同じ課題を抱えているなら、そこをうまく協力して解決していくことを楽しみにやっていきたいですね」。



JPRは今後も家具・家電・住設機器業界に限らず、コミュニティ形成による共同輸送実現の可能性を探っていく。

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