2024年問題:④モーダルシフト(環境に配慮した物流)

環境に配慮した物流は、2024年問題を克服するための重要な取り組みの一つです。特に、環境負荷の低減やエネルギー効率の向上を目指す持続可能な物流戦略が求められています。このような状況の中で、モーダルシフトが注目されています。
 
モーダルシフトとは、輸送手段を自動車から鉄道や船舶に変更することで、環境負荷を低減する試みです。自動車輸送による二酸化炭素排出量や大気汚染が問題視される中、モーダルシフトは持続可能な物流戦略の一環として重要視されています。また、自動車輸送に依存することで生じる渋滞問題や道路の劣化、長時間労働となるドライバーの負荷も軽減されるため、社会全体のコスト削減にも繋がります。
 
鉄道輸送は、自動車に比べて大量の貨物を一度に運ぶことができ、輸送効率が高いことが特徴です。また、鉄道輸送はエネルギー消費量が少なく、二酸化炭素排出量も低いため、環境負荷の軽減に大きく貢献します。鉄道輸送によって輸送距離が短縮されることで、輸送時間の短縮に繋がる場合も多いのですが、どうしても発地から駅までの輸送、駅から着地までの輸送にはコストが掛かるため、短距離ではその効果は薄いと考えられています。したがって、長距離、特に国内であれば関東関西間の鉄道輸送がメインとなるでしょう。
 
しかし、鉄道輸送は歴史的には縮小してきた経緯があります。特に関東ではJR東日本は例えば鉄道路線を客車路線に変えて湘南新宿ラインを作ってきました。そのため、運送会社が荷主の要望でいざ鉄道輸送を増加する、と言っても困難なルートが数多くあるのは事実です。したがって、どこが可能でどこが難しいかを把握しておく必要があります。
 


船舶輸送も、環境に配慮した物流戦略の中で重要な役割を果たします。船舶は大量の貨物を運ぶことが可能で、長距離輸送においては特に効率的です。また、船舶輸送は陸上輸送と比べて二酸化炭素排出量が少なく、燃料消費効率も高いため、環境負荷の低減に効果的です。また、地震や台風で道路網が使えなくなった場合にも船舶輸送は自然災害の影響を受けないという特徴があります。船舶会社は緊急時だけの利用は敬遠することが多いため、通常の輸送の段階で船舶を織り交ぜてリスクヘッジしておく必要があります。
 
このように、モーダルシフトを通じた鉄道輸送や船舶輸送の普及は、2024年問題を克服する上で重要な要素となります。さらに、これらの輸送手段を適切に組み合わせることで、効率的かつ環境に優しい物流システムを構築することが可能です。例えば、都市部での輸配送にはトラックを使用し、長距離輸送には鉄道や船舶を活用するといった方法が考えられます。
 
また、環境に配慮した物流戦略の推進には、政府や自治体、企業間の連携が不可欠です。政府は、鉄道輸送や船舶輸送のインフラ整備や、モーダルシフトを促進する政策を策定することを求めています。一方で、企業は自社の物流戦略の中で環境負荷の低減に取り組むことが重要です。さらに、地方自治体や地域企業と連携し、地域特性に合った環境に配慮した物流戦略を構築することも大切です。
 
結論として、環境に配慮した物流戦略は、2024年問題を克服する上で欠かせない要素です。モーダルシフト(鉄道輸送、船舶輸送)をはじめとする取り組みを通じて、物流業界が環境負荷の低減と効率化を実現することで、持続可能な社会の実現に貢献できるでしょう。今後も、政府や企業、地域社会が連携して、環境に配慮した物流戦略の普及・強化に努めることが求められます。
 
次回のテーマは「ドローン物流」です。ご期待ください!

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